夏が嫌いだった
- 2025年8月29日
- 読了時間: 2分
ああ、ぼくは、夏が、きらいだ
夏はいつだってぼくを閉じ込めようとする 淡い花火の音
サイダーのビー玉
でも、いちばんは、
『なつ』がきらい。
ぼくはとある夏の日
『なつ』に出会った
この物語は、そんなとこから始まる
【ミーンミンミンミンミン…】
蝉の声
暑い。
ぼくは、山の中を歩いていた
ふらふらで
裸足で
頭の中で声がする
『なんて馬鹿げてる
こんな暑い山の中を
裸足でだって?!』
ぼくは頭の中の声に返す
(しょうがないだろ…)
『まったく、計画性もなしに飛び出すからこうなるんだぞ、△△』
ぼくの頭の中の声はいつだってうるさい
耳障りだ
ノイズだ
きえてくれ…
(ぼくだって、こうなるっておもってなかったんだ
やまでそうなんするなんて)
『遭難、で済むのか?』
(え)
『このままだと、干からびて最悪の場合、死ぬね』
(ふぐぅ…)
「ナナシィ…、たすけてよぉ。」
ナナシは頭の上にいるキツネのぬいぐるみだ
でもぬいぐるみが、答えてくれるはず、ない。
『へっ、そのぬいぐるみ話しかける甘ったれた精神何とかしろ』
「うるさい…っ」
ぼくの頭の中の声はだまらない 『まぁ、俺に話しかけるのも大概だけどな』
(はなしかけてない。うるさい、うるさい、うるさい。)
ぼくの頭の中のは蝉よりうるさくてしつこくて
おまけにぼくの頭の中を読んでくるから
ほんとうに
(きらいだ…)
『あぁ、はいはーい。黙りますよー』
ぼくの足は立ち止った。
(あつい、あしもいたい、もう、ゲンカイ…)
『…』
ぼくは、ふらふらと
倒れかけた
そんなときだった
??「おい、なぁに、そんなところで死体になりかけてるんだぁ?」
「夏の死体なんて、蛆虫だけじゃない、結構グロテスクなんだぜ?腐るの早いし。
なるもんじゃねぇな」
「はぁ?」
ぼくは張り付いた喉から、
やっとそれだけの声を絞り出した
「あぁ、もしかして、お嬢ちゃん?
まぁじで、死にそうなわけ?」
「死にかけの奴らなんて、ゾンビと屋敷の奴らで十分なわけ。」
「死体になりたくなけりゃ、ついてくるか?」
「…こくり」
「そんなしゃべり方するやつ、初めて見たかも
もしかして、お前珍獣?それとも」
ぐらっ…
ぼくの体が揺れる
「あぁ、あぁ。夏の山で拾い物。捨て猫にしてはでかいなぁ。」
ぼくの体が受け止められた気がする
視界はもう暗転…
「はぁあ、ちょーさはいったんしゅーりょー、だな」
「起きたら噛みついたりしねぇよなぁ」
そんなこんなで、ぼくは
出逢ってしまった
なつ、という世界で一番嫌いな季節の名前を冠する男に。

なきむしアーカイブ1
Episode!1End.




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