第2話:おばけのすむ家
- 2025年8月30日
- 読了時間: 2分
「……おれの屋敷に来たきゃ、自分の足で歩け。以上。」
なつはそう言って歩き出したかと思えば、すぐに振り返ってきた。
「……こねぇの?」
その顔が、うっすらと笑っている気がした。
ぼくは、クッキーのかけらを両手に持ちながら、こくりとうなずいて、その背中を追いかけた。
屋敷は、まるで童話に出てくるような、おおきな西洋館だった。
でも、近づくにつれてわかる。ちょっとくたびれてて、窓はどこか寂しそうで、
でも……なんとなく“誰かが帰ってきそうな”空気がした。
「へーい、おれの帰還だぜー」
玄関を乱暴に開けたなつの声が、屋敷の奥に反響する。
「おかえりー……あれ? だれそれ!」

ぼくの前に、すごい勢いで飛び出してきたのは、黒色に白メッシュ髪のちいさな子。
でも、目はくるくるしてて、口はずっと動いてて、なんかこう──ひとことで言うと「めっちゃうるさい」。
「はじめましてー!? いや、はじめてってか、誰!? え、え、しっぽ!? え、ぬい!? なにそれ!? なつ! なつなつなつなつなつ!!!」
なつが煙草に火をつけながら答える。
「……迷子。たぶん、おれの業(カルマ)の一部。拾ったら、ついてきた」
「うけるー!!」
「……受けるんかい」
なんかすごい勢いで絡まれて、ぼくは思わずナナシをぎゅって握る。
「……はる、そのへんにしとけ」
「えー、でもおれ、この子ちょっと好きかも。なあなあ、名前なんなん?」
口が止まらないこの人は「はる」っていうらしい。
しばらく応戦していたら、ふいに背中に風を感じた。
「──また、ふやしてきたの?」
屋敷の奥の階段の上。
白い髪の子が、ぼくたちを見下ろしていた。
「……ん。しろい」
思わず、そうつぶやくと、なつが肩をすくめた。
「ふゆは……うん、宇宙からの落とし物。返品不可、感情爆弾つき」
「……どういう意味で?」
ふゆと呼ばれた子は、あきらかにあきれ顔だったけど──
ぼくの方に、ほんの少しだけ、視線をすべらせた。
ぼくと、ふゆの目があった。
その瞬間、胸の奥で、なにかがぴこんって鳴った。





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